“選択”からヒーリングへ - ダウジングの歴史と現在地 -
ダウジングの歴史
ダウジングに関する記述として最も古いものは、紀元前5世紀の中ごろに《father of history》として知られる古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの残した記述だと言われます。彼が黒海北部のスキタイを放浪していたときに、Y字ロッドを使って水脈の探索をしている様子に出くわし、その記述を残しています。
16世紀のダウザーたち
出典:Sir William Barrett and Theodore Besterman,The DiviningRod |
また、古代中国の文学作品にも、ダウジングに類する記述が残っています。日本においては、弘法大師が杖を使い、水脈を突き止めて井戸を掘ったというような記述があります。
しかしながら、広義では、人のダウジングの歴史は人の歴史と同じだけあると言えると思います。つまり、いわゆる第六感を使って、生きるために必要なものを得たり、逆に危険を回避するために、何かのエネルギーにつながって探知し、安全のための情報を得たりすることは、常にやり続けてきたはずだからです。
その行為をより効果的にするため、Yヨーク、Lロッド、ペンデュラムといった道具が開発されました。そういったものを使いながら生きるために水を探すことから始まりました。水を探すことができるならば鉱脈も、そしてさまざまな物(例えば紛失物など)を探すことができるようになるわけです。
選択のダウジング
時代は変わり、近代に入ると、生きるための食べ物や水を必死に探す必要がなくなりました。現在、飲み水を探すためにLロッドを持ち出す人はいないと思います。コンビニか道路の自動販売機に行けば簡単に手に入るわけですから。
一般的にダウジングというと、昨今では、自分にとって必要なものを選ぶ時、つまり選択のツールとして使われることが多いと思います。
この食べ物は適しているか? どの色の洋服を着たらいいか? あるいは、フラワーエッセンスやアロマなどのヒーリングレメディを選ぶ時にもよく使われてきました。
もちろん、それも有効なダウジングの利用法です。対象物と自分の波動と波動の共鳴を見て、必要な組み合わせを作っていくことは、良い結果を導きます。私たちもダウジングの講座というとおよそ10年前は選択のためのダウジング方法を指導していることが、ほとんどだったと思います。
ヒーリングダウジングへの動き
20世紀の初めから中ごろに新しい動きが活発化します。「ヒーリングダウジング」というペンデュラムの利用方法が起こってきました。その経緯は、伝説のフランス人ダウザー、有名なマーメットペンデュラムの開発者、アベ・マーメットの言葉に集約されます。
「地面の下にあるものを調査したり、隠された物質を探すことがペンデュラムを使ってできるのであれば、同じペンデュラムを使って人や動物の隠されたコンディションを調べられないはずがない」
ダウジングは、対象が放つ波動(微弱なエネルギー)につながり、その反応により情報を得ています。人も動物も波動(エネルギー)を放っているので、同じテクニックがそのまま使えるというわけです。
そして、人や動物のエネルギーを調査し、それがバランスを崩していたならば、適正化することを行いました。欧米のダウザーはその行為を「メディカルダウジング」と呼びました。
さらに、ダウジング理論を論理的科学的に整理したうえで有効化しようとする「ラディエスセシア」とアメリカの医師アルバート・エイブラハムによる波動療法「ラジオニクス」が時を同じくして起こり、相乗効果を持ちながら、ヒーリングダウジングが発達していきます。
さらにヒーリングダウジングはクリスタルのエネルギーを利用したり、神秘幾何学エネルギー学を利用したり(エナジーペンデュラム)しながら、発展を続けていきます。
つまり、ヒーリングにおけるダウジングは、かつての「エネルギーを探知する」にプラスして「エネルギーをハーモナイズする」ということが加わったのでした。
ヒーリングダウジングのさらなる広がり
2013年6月、私はイギリスダウザー協会を訪ね、イギリスのダウザーたちと意見交換をしてきました。
そのなかで非常に興味深かったのは、あまりにもジオパシックストレスの話題が多いことです。ダウザーたちが場所に対して、それぞれの得意なやり方でエネルギー分析やエネルギーハーモナイズを行っているのです。
それは、ヒーリングダウジングのさらなる発展ともいえますし、逆にいえば、人はかつてないほどの深刻なジオパシックストレスの中で生活を強いられ、その対策が緊急テーマであるともいます。
ジオパシックストレスの調査や対策をする時に、人がその多くの時間を過ごす場所のエネルギーコンディションを考えていきます。たとえエネルギー状態が悪いとしても、短時間いるだけであれば何も問題はありません。
人が最も多く時間を過ごす場所のエネルギー状態が問題なのです。よく言われるのは、寝室です。寝室所は人が最も多く時間を過ごす場所なので、その場のエネルギー状態が良くも悪くも人に多くの影響を与えます。
「シックハウス」という言葉もあります。文字どおり、そこに住む者が次々と病気になってしまうという家です。ジオパシックストレスの強い影響下にあるそのシックハウスは、ヨーロッパではとても問題視されています。
日本にも、ケガレチ(エネルギーが悪い場所)、イヤシロチ(エネルギーの高い場所)という呼び方をして、土地のエネルギーの良い場所を選ぶ、あるいは、土地のエネルギーの改善をしていくという考え方はありました。
いずれにしても、昨今では土地の事情により人が自由に住む場所を選べない、人工的な理由でエネルギーが悪化している、電磁波の量が異常に多い、などの理由で特にジオパシックストレスが増大しているわけです。
いくらヒーリングサロンで週に一度エネルギーバランスを適正化してもらっても、毎夜6~8時間も過ごす寝室がネガティブなエネルギー下にあれば、たちどころにエネルギーコンディションは悪くなり、やがて肉体的精神的な悪影響が出てしまいます。逆に寝室がエネルギーの高い場所であれば、ただ毎日寝ているだけで高いヒーリング効果が得られ、コンディションが良好になります。
そういった意味で、過ごす場所のヒーリングをするというところまで、ヒーリングダウジングは進んでいます。そのため、ダウジングは分析調査とハーモナイズが同時にできるヒーリングペンデュラムタイプが好まれて使われるようになってきました。
自分、家族、関わる人、動物、場所、環境、それら全体のハーモナイズ、適正化を図っていく、それがヒーリングダウジングの現状といえます。