動物たちと話ができますか?

ダウジング講座
「アニマルコミュニケーション」のスペシャリスト デビィ・コワン-ハケットにインタビュー

無意識・潜在意識という非言語の領域を扱うダウジング、動物と対話するアニマル・コミュニケーションには多くの共通点がある。どちらも声なき声を聞き取る特別な能力が必要なものと思われがちだが、アニマル・コミュニケーションの独自メソッドを開発したデビィは、「とてもシンプルなこと」と語る。

彼女が長年にわたる動物たちとの交流の中で得た〝言葉〟とは、彼女が開発したメソッドとはどんなものだろうか。

今回、当協会主催による講座開講に際して講師であるデビィに協会会長の加藤が聞いた。

デビィ・コワン-ハケット(オーストラリア)

経験豊かなアニマルコミュニケーター。ダウジングをその技法に取り入れている。動物と話すだけではなく、トラウマ解消のヒーリング・問題行動の解決・迷子動物の探索なども行う。フリッカー・アンカーなどのシンプルなテクニックを使い高いレベルの動物との対話を行う。2022年に日本人に向けたズームでの「アニマルコミュニケーター養成コース」の開催を予定している。

トラウマをもつ動物たちへのヒーリングからすべてが始まった

加藤 デビィさんはアニマル・コミュニケーションを、どんなきっかけで始めたのでしょうか?

デビィ 私はオーストラリアのメルボルン郊外で、2歳前から乗馬を始め、ポニー、馬、豚、犬、猫、ニワトリなど、多くの動物に囲まれて子ども時代を過ごしていました。物心つく前から自然に動物たちと交流をしていたわけです。

 アニマル・コミュニケーションという分野に積極的に入っていったきっかけは、トラウマをもっている馬へのヒーリングでした。当時、私はマウンテンレースという山の中で行う馬のレースをしていました。あるレースで私は、扱いがとても困難な馬に乗ることになりました。

 その馬は過去、人に酷いことをされており、強いトラウマをもっていました。時に意識が朦朧としてパニックになることすらありました。オーストラリアにはバリー・ジルボー(Barry Gilbo)という非常に有名な獣医がいるのですが、彼が「この馬はとても人間が乗れる馬ではない」というのです。しかし、それと同時に彼は私に馬とコミュニケーションをとる高い能力があるということも言いました。

 なぜ馬がそのような心の問題をもつのか、それをどう解決することができるのか、もっと深いレベルで馬と会話をして人が乗れるようにできないだろうか、 と私は思いました。

加藤 その後、どうやって動物へのヒーリングを学んでいきましたか?

デビィ 当時はインターネットなどなく、情報を得ることが困難でした。しかし、『アニマル・コミュニケーター』の著者であり、アニマル・コミュニケーションのパイオニアとして有名なリディア・ヒビー(アメリカ・カリフォルニア在住)とコンタクトを取ることができました。1990年代のことですが、当時はアニマル・コミュニケーションという言葉すらなかったのですが、リディアがオーストラリアで講習会をするということで、私も出席しました。そしてそこでアニマル・コミュニケーションの第一人者として有名なキャロル・ガーニーに出会うことになります。

 私はアメリカに渡り、彼女のもとでトレーニングを受けることにしたのです。彼女のアニマル・コミュニケーションは、非常に高い基準を要求されるものでした。50のケーススタディをしましたが、私はそのすべてに失格しました。落第率は99%のコース。心が折れそうになりましたが、それでもキャロルのもとでトレーニングを続けました。そして、キャロルが私を有能なコミュニケーターと評価してくれるまでになり、ついに難関の公認アニマルコミュニケーターの資格を取得することとなりました。

加藤 動物だけではなく、人間の子どものトラウマの問題解決にも携わっていたとお聞きしましたが、それはどのようなものだったのでしょうか?

デビィ 虐待を受けた子どもたちの心の傷を癒やし、助ける活動をしていましたが、じつは動物も人も同じなのです。トラウマを持つ子も大人も、そして動物も、社会から隔離され引きこもっています。そういった問題は、解決しようとしてもうまくいかないことが多くあります。私は、そんな人や動物を助けるスキルを教えたいと思っているのです。

 動物にも人に対しても、助ける方法はシンプルです。彼らを尊重すること、そして声を、言葉にならない声すらも、しっかり聴いてあげることです。心地よさや喜びを感じさせてあげることなのです。何も複雑なことをする必要はありません。そして、そのヒーリングの方法を言葉で説明するだけでなく、それを実際に行うこと、これらのことが大事なのです。 ダウジング講座

加藤 今、私たちは厳しい社会環境に置かれていますが、アニマル・ヒーリングを通して、私たち自身が幸せに生きることができるのではないかと思うのですが、この点についてはどうお考えですか?

デビィ 私たちにはいろいろな苦しみがあります。オーストラリアでは深刻な水害で何十万の人が被害を受けました。世界中で深刻な自然災害、コロナパンデミックが起きています。

 ウルヴズグレン(下記参照)という私の親友が北海道にいました。この馬は福島で被災し、1年間放置され、北海道のホーストラストに連れてこられました。そして3年前に彼は亡くなりました。

「平和への道は、動物を通して可能です。動物には国境や障壁のようなものが無いのです」

 彼の私と私の生徒たちへのメッセージは、このようなものでした。

ウルヴズグレンは1999年5月3日生まれ。 競走馬を引退後、福島県の南相馬市で行われている「相馬野馬追」という祭りに参加するために個人の方に飼われていたが、2011年3月11日の東日本大震災で被災し、その後ホーストラスト北海道(北海道庁が認定するNPO法人。現役を引退した馬を、適正な生活環境で飼養管理する施設)で引き取られ、余生を過ごしていた。

デビィは5歳で乗馬の障害飛越競技に出場し、様々な賞を獲得。国立オーストラリア大学で哲学を学び、エンターテインメント業界で働く。その後マザー・テレサに手紙を書いたことをきっかけにインド・カルカッタの「死を待つ人々の家」で奉仕活動を行った。インドから帰国した後は再び馬にかかわる仕事を始め、アニマル・コミュニケーターとして本格的に活動をスタートして現在に至る。